武田信玄の家紋アイコン

武田信玄の家紋についてご存知ですか?

天皇家の一般参賀で見かけるデザインにそっくりなこの家紋は「武田菱」と呼ばれ、全国の武田家の結束をアピールした意味があったと言われています。

ここでは信玄の家紋をはじめ、類似する「菱紋」についても詳しくご紹介します。
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武田信玄の家紋「武田菱」について簡単に解説!

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まずは武田信玄の家紋「武田菱」について簡単にご紹介します。

武田家が用いていた武田菱は、信玄をはじめとする全国の武田家によって使われていました。
甲斐国はもちろん、安芸国や若狭国の武田家もこうした家紋を用いています。有名所としては、安芸国の武田家の一族ともされる毛利家の外交僧、安国寺恵瓊が似たような家紋を用いていた事でも知られています。

また、同じ武田菱の中にも、菱の間の白線の太さを変えて宗家との区別をつけたりする等した「三階菱」「松笠菱」「地黒菱」といった細かい分類もあり、これらの家紋は主に武田氏支流・庶流が、宗家に遠慮する形で使っていたようです。その一方で、武田菱には日本中の武田家の結束をアピールする狙いもあったと言われています。

武田菱の由来は2つ残っています。1つ目は武田家の「田」の字を取ったもの。そしてもう1つの説は、武田家の祖である清和源氏一族である源義光が着用した「楯無の鎧」(たてなしのよろい)に付いていた菱紋とするものです。この鎧ですが、源義光説の詳細ですが、義光が1050年の前九年の役の勝利を住吉神社に祈願した際、そのご神託によって武田家が鎧を拝領することになったのだとか。その鎧の裾に菱文様が付いていたのでこれを武田家の家紋としたというのがその詳細です。

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菱紋そのものの意味についてわかりやすく解説!


武田菱は「菱紋」と呼ばれる家紋の1つですが、次はこの菱紋についてご紹介します。

菱紋は平安時代後期から使われていた家紋で、日本では珍しい角張った形が印象的な幾何学的な文様がその特徴として挙げられます。由来は植物の菱の実や葉の形からきたとされる説、そして菱文様からきたとされる説がありますが、はっきりとした答えは分かっていません。

菱文様自体は正倉院の宝物をはじめ、菱紋の染織物や木工品などにも見られるので、これを家紋に使用したとしてもおかしくはありませんね。これをひしゃげた菱形に少しアレンジすることで、武家らしい鋭い印象を付けたとも考えられています。

菱紋の種類は多く、武田信玄で有名な割菱紋の他にも、最もポピュラーな「菱餅」(ひしもち)と呼ばれる紋や組み合わせを変えた「違い菱」などがあり、その後も武田氏の一族一門が増えるたびに菱紋のバリエーションもさらに増えていったと見られています。

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菱餅

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違い菱

なお、武田氏は先述した武田菱の他にも、以下の「花菱」も使用していたと言われています。
この花菱は花の文様に変化させたものであり、武田家では控え紋または裏紋として用いられていました。また、その優しさや柔らかさといったイメージから、女性が特に好んで用いた家紋だったとも言われています。

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花菱

こうした菱紋は、総じて300以上の種類があると言われています。
また、現在でも目にする三菱グループのロゴも「三菱」という菱紋にあたります。

天皇家が武田菱を使ってるのはホント?


ところで、一般参賀などの時に天皇陛下や皇后様の後ろに、武田信玄の家紋が掲げられているのを見たことがありませんか?

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※参照:全国の市章 菱・立方体


なぜ天皇家に信玄の家紋が?」と疑問を抱くと思いますが、実は現在一般参賀などの時に天皇陛下の後ろに見えている紋章は武田信玄が用いた家紋ではありません。

先ほどの説明にも出てきましたが、菱紋はその均等の取れた美しいデザインから、日本では古くから用いられてきました。正倉院などに残されている染織物や木工品などの調度品に使われていたほか、平安時代では御簾の縁などに描かれている文様として、天皇家や宮家などが愛好していた事でも知られています。

ですので、天皇家が使っているこの紋様は武田菱とは関係はないのです。天皇家で使われていたデザインを武田氏が武田菱と呼び家紋としたといった方が的確でしょう。

余談ですが、現在の皇室の紋として広く使われているのは「菊花紋」です。戦後は家紋の自由が認められていますので、厳密には「菊花紋=皇室の家紋」ではありませんが、明治以降から戦時中にかけて、菊花紋は天皇家のみがその使用を認められていました。

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この記事のまとめ


武田信玄の家紋である武田菱について、菱紋を天皇家が使っている理由を含めてご紹介しました。角張った形が特徴の幾何学的な文様の菱紋は、武家の家柄を鋭いといった形で表現した家紋と言えそうですね。

古くから存在していたこの菱文様を家紋とした武田氏。その流派が増えるたびに菱紋のバリエーションも増えていったと考えられています。また現在も天皇家が使用しているこの武田菱ですが、これは厳密には武田菱ではなく模様としての菱文様です。

※参照:武田信玄の年表と代表的な3つの戦いを簡単にまとめてみた。