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時代劇などを見ていると、登場人物が文章にサインをしているのを見かけますね。
これは「花押」(かおう)と呼ばれるもので、署名の代わりに使用される記号、符号のことを表しています。


では、花押にはどのような歴史があるのでしょうか。
有名な花押や印鑑との違いにも触れつつ、詳しくご紹介します。
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花押の歴史について簡単にわかりやすく解説!


まずは花押の歴史について簡単にご紹介します。

花押が発生したのは、5世紀頃の中国だと言われています。
日本では10世紀中頃の平安時代中期から用いられていたと言われており、当時は「」(はん)や「書判」(かきはん)とも呼ばれていました。

11世紀に入ると、実名2字の部分を組み合わせて図案化した「二合体」というスタイルがのものが生まれた他、実名から1字だけを用いる「一字体」と呼ばれるものも誕生しています。共通点としては、花押は使う人の名前をもととしているという事でしょう。
鎌倉時代になると、武士が文章を書く機会が増えたため、それにともなって花押が使われる場面も増加しました。ちなみに武士が使う花押は、貴族が使う「公家様」に対して「武家様」と言われています。

これが戦国時代になると、実名をもとにしたもの以外の花押も作成されていました。
父親が使っていた花押を子供がそのまま利用する事例があった他、何かしらの地位を花押が示す事もこの頃から出現しています。
現在でも、内閣総理大臣がその地位を示すために花押を使う場面がありますね。

江戸時代になると、百姓を中心に花押を使う場面は少なくなっていきます。これに取って代わったのは印鑑でした。そして明治時代に出された太政官布告によって、印鑑がない文書は裁判では使えない事が規定されたため、花押を使う機会は大幅に少なくなっていきました。

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有名な花押を4つ紹介!


ここでは、花押の中で有名なものを4つご紹介します。

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これは、織田信長が1568年頃に発給した文章の中にある花押です。
古代中国の伝説上の動物、麒麟(きりん)の「麟」の字をかたどったものだと言われています。

当時の信長は、居城を岐阜城に移し、その城下町の発展に力を注いでいました。
その背景には、衰退していた室町幕府にかわって天下をおさめようとしていた信長の意図が含まれていると言われています。



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豊臣秀吉が弟の秀長に宛てた手紙に書かれてある花押です。

この花押は、「悉」という漢字1文字を変形させたものです。
「悉」の言葉の意味は「ことごとく」「すべて」という意味を持つ漢字で、この漢字を選んでいるところは、天下統一を成し遂げた秀吉の個性の表れと言えます。



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加藤清正が用いていたとされる花押です。

清正の「正」の文字を取りこんでいて、円の中に縦筋を入れた形が猫の目のように見えるのが特徴です。その由来は、清正の幼名「虎之助」に因んで、虎の目や爪、牙を取り入れた事にあるとされています。


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セキレイという鳥を参考にした、伊達政宗の花押です。

伊達政宗は1591年に、葛西大崎一揆の指導者に援助を行い、その文章を発給した事で秀吉から問い詰められた事がありました。その際、政宗は「自分の花押のもととなったセキレイの目の部分には穴を開けているが、この文書には穴がないので偽物だ」と述べ、疑いを晴らしたという逸話が残されています。

※参照:伊達政宗の小田原合戦への参陣。伊達家と北条家の関係は?

花押と印鑑の違いって?使われる場面は?


話は変わりますが、花押と印鑑の違いって何なのでしょうか。

この2つは、共に押された文章が正しいことを証明するものとして使われるものですが、その違いとして印鑑には法的な拘束力があり、花押にはない事が挙げられます。

印鑑も花押と同様、古代中国から日本に伝わりました。1784年に福岡県の志賀島で発見された「漢委奴国王」の金印は、いわゆる印鑑の事になりますね。
その後の日本では花押と共に印鑑も使われていたのですが、花押は主に身分の高い人が利用していたのに対し、一般庶民は印鑑を主に使っていたそうです。

また、印鑑は実務的な側面がありますが、花押には使い手の気持ちが込められていたり、あるいは権力者がその力を示したりするなど、情緒的な面が込められているといった違いもあります。花押は誰でも自由に作れるので、自分独自の花押を持つのも趣がありますね。

現在、印鑑は公的な申請や商取引などに利用されてますが、一方の花押は免許や伝授といった事柄に利用されている傾向があります。

この記事のまとめ


花押の歴史や印鑑との違い、有名な作品などをご紹介しました。

現在でも花押を利用している政治家は多く、またJRの駅長が花押を使う事もあるそうです。

その一方で、花押は持とうと思えば誰でも自由に作れる側面もあります。何かの書類にさりげなく花押を使用したら、ワンランク上の人になった気がするかもしれませんね。

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