2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の主役の一人、田畑政治(たばたまさじ)という人物についてご存知ですか?俳優の阿部サダオさんが演じる事で話題になっている一方で、今回はじめて名前を聞いたという方も多いと思います。
今回はこの田畑政治がどんな人だったのかを、指導者を務めていた水泳や招致に尽力した東京オリンピックとの関わりを含めわかりやすくまとめてみました。
田畑政治ってどんな人?エリートサラリーマンだった!?
まずは田畑政治がどんな人だったのか、簡単にご紹介します。
水泳指導者として、また東京オリンピック招致に尽力した事で知られる田畑政治は、1898年に静岡県で誕生。東京帝国大学を卒業後の1924年には朝日新聞社へ就職し、政治経済部長をへて1949年には常務へと昇進されています。帝大を卒業して大手新聞社の常務になった事を考えると、田畑は今で言うエリートサラリーマンみたいな存在だったのかもしれません。
その後、1951年頃に朝日新聞社を退社し、東京オリンピック開催の実現に尽力します。その功績は高く評価されており、1969年には勲二等瑞宝章を受賞。その後もIOC功労賞などを受賞しており、1984年になくなるまで日本スポーツ界の発展に尽力されました。
また、田畑と言えば日本水泳界に多大な影響を及ぼした人物としても知られています。地元・静岡の浜名湖で水泳の指導者を務めていた事もある田畑は、朝日新聞社へ入社した1924年に設立された日本水泳連盟の創設に参画してもいます。なお、この浜名湖での遠泳で当時の新記録を樹立したのが、後に「フジヤマのトビウオ」という異名で知られる古橋廣之進です。そしてこの2人は、以下で述べる通り密接な関わりを持つ事になります。
※参照:日本のオリンピックの歴史についてわかりやすく解説!
田畑政治と水泳の関わりについて。選手ではなかった!?
ここでは、田畑政治と水泳の関わりについてもう少し詳しく掘り下げてみます。
水泳指導者として、また日本水泳連盟の会長として活躍した田畑ですが、水泳選手としての記録を保持している訳ではありません。それどころか、以下の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の田畑の紹介欄では以下のように記載されています。
“水泳のために生まれた男”、といっても本人は病弱で泳がない。
※参照:2019年 大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」主演は
選手としての実績がないにも関わらず、指導者としての実績があるという事は、田畑は「人を教え、導く」能力に非常に長けていたという事になるのでしょうか。1932年のロサンゼルス五輪で、田畑は日本代表の監督を務めています。当時から評価は高かったのでしょう。
そして1948年に、田畑は日本水泳連盟の会長に就任。翌年には日本を国際水泳連盟への復帰へと導いた他、ロスで実施されていた全米水泳選手権に古橋廣之進、橋爪四郎ら日本人選手を出場させる事に成功。この大会では古橋が1位、橋爪が2位を獲得するなど、アメリカ人に対する日本人の地位向上にも貢献した事もあります。
田畑政治と東京オリンピックの関わりとは?
最後に、田畑政治と東京オリンピックとの関わりについて見ていきましょう。
田畑は第二次世界大戦が終わった直後から、日本そして東京でのオリンピック開催を構想していたと言われています。そして1949年、田畑は日系人でロスの実業家として成功していたフレッド・イサム・ワダと知り合う事になります。ワダはその後、世界各国のIOC委員から票を集める活動などを行い、田畑の構想の実現に尽力する事になります。
1958年以降、田畑は東京五輪招致に向けた準備委員会の中心人物として活躍。その翌年には見事招致に成功します。この時期、田畑は女子バレーボールを五輪の種目に加える運動も担っていました。64年に大会で「東洋の魔女」と呼ばれた女子バレーボールチームは、田畑の存在あってこそ成り立ったとも言えるでしょう。
しかし1962年、インドネシアで行われたアジア競技大会の混乱の責任を取る形で、田畑は組織委員会を辞する事となります。ともあれ田畑が東京オリンピック開催に尽力した功績は大きなものである点は疑いもなく、1973年から4年間、日本オリンピック委員会の会長として活動されています。
※参照:1964年東京オリンピックの競技や開会式について。都知事は誰?
この記事のまとめ
このページでは田畑政治(たばたまさじ)がどんな人だったのかを、水泳や東京オリンピックとの関わりを踏まえご紹介しました。
もともと朝日新聞社のエリート社員だった田畑は、水泳指導者として高く評価されるなど日本スポーツ界の発展に尽力されてきた方です。「フジヤマのトビウオ」「東洋の魔女」といった言葉は、田畑の存在抜きには語れないと言っても過言ではありません。
こうした田畑を2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」において阿部サダオさんがどのように演じるのか、今から楽しみですね!
[…] (出典 NHKいだてん ヒストリーランド) […]